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なぜ、沖縄で大阪のパンか。“天然酵母×島cuisine”が動く!
『ゴ・エ・ミヨ』唯一の“島キュイジーヌ”
那覇空港近く、小禄という町にある『島cuisineあーすん』は、沖縄食材を使った料理を味わえるレストラン。仏レストランガイド『ゴ・エ・ミヨ』に3年連続掲載され、イタリアンやフレンチの枠を超えた料理を島食材で作ることから、同ガイドでは唯一、「島キュイジーヌ」というジャンルで表記されています。

可能な限り沖縄県産のものを、生産者から直接仕入れるという小林シェフ。スペシャリテは、今帰仁アグーを使ったハンバーグ。「あーすん」は「混ぜ合わせる」という意味の沖縄言葉だ。

やちむん(沖縄の焼き物)など、器や調度品を見るだけでも価値あり。
「今帰仁アグー」に魅せられて
シェフの小林拓真さんは長野県出身。東京のフランス料理店や星付き日本料理店で修業し、オーストラリアに渡り多国籍レストランの料理長も務めました。2016年、「まだ知らない日本の食文化を深く理解したい」と沖縄へ移住。竹富島『星のや』で働く中で出合ったのが日本唯一の在来種と言われる今帰仁アグーです。沖縄で絶滅危惧となった島豚を、今帰仁村の生産者・高田勝さんが交配に成功して復活させ、年間わずか200頭に満たない数をレストランなどに出荷し「幻の豚」とも呼ばれています。
脂の融点が低いため口中ですっと溶ける今帰仁アグーに惚れ込んだ小林さんは、「こんなにおいしい肉も魚も野菜も米もある沖縄は、島の産物だけでフルコースを作れる」と考え、沖縄食材だけを用いたレストランを開こうと計画。2020年10月、一軒家をまるごと使った『島cuisineあーすん』をオープンさせました。

今帰仁アグー生産者の高田さんは東大卒業後、進化生物学研究所へ入り、のちに養豚の道へ。
大阪のパンと沖縄のアグーがなぜコラボ?
料理は基本的にランチとディナーのコース主体ですが、ディナーでは今帰仁アグーのハンバーグや煮込み、グリルなどさまざな手法で希少なこの豚肉が味わえるとあって、食通の間でたちまち話題に。
そんな噂を聞いて訪れ、今帰仁アグーが「復活した在来種」ということに注目して今回のイベントを持ち掛けたのが清水さん。東三国の『コーヒー&ベーカリー アルル』で初代店主から80年間継がれる“ルヴァン種”を使ったサワードゥブレッド(天然酵母パン)のおいしさを伝える活動をしており、「このアグーとパンには『種』の継承という共通したストーリーがある」と親和性を感じ、ペアリングイベントを企画しました。
イベントでは、最初に『アルル』のサワードゥブレッドや、沖縄市内のベーカリーの天然酵母パンを食べ比べし、酵母の違いやライ麦の含有量による味の違いを確認。「サワードゥブレッドは天然酵母パンの総称で、ルヴァンはその酵母の元種となるものです」といった清水さんの説明に、参加した約30人は興味深そうに聞き入っていました。

今帰仁アグーのビール煮込み。これもカカオのソースで仕上げ、まるで牛肉の赤ワイン煮込みのような上品な舌触りと芳醇な風味に。
これからもパンで繋がる、大阪と沖縄
『あーすん』ではもともと天然酵母ではないパンを提供していましたが、今後『アルル』の80年継ぎ足し酵母を使って沖縄のベーカリーにパンを焼いてもらう予定とか。「天然酵母パンと在来種の食材は、どちらも“テロワール”を感じるので相性が良い。沖縄でも内地でも、パンをフックに沖縄食材を食べてもらえる機会を増やしたい」と小林シェフは語ります。

『コーヒー&ベーカリー アルル』のパン。
「島cuisine@大阪」イベント続々
今後も清水さんが手掛ける食の交流は続く予定。3~4月は下記のイベントが決定しています。
・3月からパン飲みスタンド『good stay good』(中崎町)で、80年継ぎ足しルヴァン生地に沖縄の生ウコン、島唐辛子、島らっきょうを乗せて焼いた「沖縄ピザ」を販売。
・4月から『コーヒー&ベーカリー アルル』とイタリアン『コンパシー』(立売堀)で、「島キュイジーヌ」がテーマのメニューと80年継ぎ足しルヴァンの天然酵母パンを日曜限定で提供。
・4月から『cafe woo』(兵庫県多可町)で、沖縄のハーブ「コヘンルーダ」や生ウコンを使ったエチオピアスパイスコーヒーを提供。
大阪は大正区に「リトル沖縄」があり、沖縄との関わりが深い土地。そんな大阪で沖縄と食を通じた新たな交流が生まれることは意義深い動きと言えます。今後も、大阪の各所で沖縄の“島cuisine”に触れる機会が増えるかもしれませんね。





